『「また会ってください。」
私は言って、彼女の手を握った。
どうしてもどうしてもさわりたくて、気が狂うほど、もういてもたってもいられなくて、彼女の手に触れることができたらもうなんでもする、神様。
そう思った。そう思ってした。自然も不自然もない。せざるをえない。思い出した。本当はそうだった。何となく気があるふたりがいて、何となく約束して、夜になって、食べて飲んで、どうする?となって、今夜あたりいけるとお互いが暗黙の打ち合わせをしてる、というものではなかった、本当はただたださわりたくて、キスしたくて、抱きたくて、少しでも近くに行きたくてたまらなくて一方的にでもなんでも、涙がでるほどしたくて、今すぐ、その人とだけ、その人じゃなければ嫌だ。それが恋だった。思い出した。』
吉本ばななは文章が上手いなぁ~と思いながら読んでいて、
でも、ものすごく好み!っていうんでもないなぁと思ったんだけど、
この部分は、素晴らしいと思った。
表現の仕方は私の好みとは少し違うけれど、
この人のものの見方はとても好きだと思った。
冷静なのに、的確な感じがする。
(極端に口語的な表現によってリアルな描写をする人も私は好きだけど、そうしないでキチンと伝えるのって、すごいと思う。)
ばななとか言うから、
もっと軽く適当なことを書く人かと思ってたよ。
読んでなかったくせに、ごめんなさい。